過去の公演とか

1本目「にっちもさっちも」 2018.04.27 & 28 @ 自由表現空間シアターカフェNyan

【あらすじ】

舞台は食べログ評価星2,5のそこそこの喫茶店。

市内だけど都会と言うには微妙な冴えない街の喫茶店で沸き立つ、ぬるい店の日常。

新卒社員の若人たちによる息まいた出勤を目撃したフリーターのジリ貧女子ハナヨ(演:坂口望美)は、彼らと自分を比べてしまい(このままで良いのか……)と悩んでしまう。与太話のついでに相談してみようと思うが、他の店員はへらへらとふざけるばかりで誰も取り合ってくれない。同期でいまだ大学を出れていない前原(演:日下よしき)はお気楽に遊んで生きてるし、常連たちも仕事をさぼったり・ゲームするばかりで。先の見えない将来に漠然とした不安を抱える少女のストレスの行く末は……

【出演者】

 ハナヨ:坂口望美/前原:日下よしき/東雲:井上多真美/店長:本多信男(カラ/フル)/カホル:ピンク地底人5号

 阪本:田宮ヨシノリ(劇団月光斜TeamBKC)/ウメコ:黒弥優/メイコ:髙山千比呂

 黒タイツの痴女、VRゴーグルをつけたお客様など:イトヲ

【声の出演】

 「スンドゥブチゲ」の着信音=タナカキザカオ/店内ラジオ=大崎けんじ/混線してきた劇場アナウンス:黒弥優

 

音響編集:黒弥優/チラシデザイン・脚本・演出:ピンク地底人5号

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【終わって、しばらくの雑記】

喫茶店で脚本を執筆してると有線からはよくわからない洋楽が聞こえたりする。たまに気分を変えて都会の喫茶に行けば、井戸端会議でも開いてるのか女性が男の話を、周囲の目や耳を気にせずにえげつない話をしていたり……他人の日常を覗き見るのが面白くて、それをまんまやってみようと言うのを何年か前からずっとずっとやっている。やり飽きないのかと思われるかもしれないが、見る人も毎回違うわけで反応は人それぞれ。さらに僕もその時々で書きたいことだったり、面白いと思う話が変わってくるわけで。そこに出演者が変われば、戯曲も変わってくるわけです。一期一会の舞台でありながら、手を抜くことなく無駄に全力を注ぐ。『好きこそものの上手なれ』とはよく言ったものです。そんな舞台に今作はラジオパーソナリティーを仕事にしている先輩の創作番組なんか流してみたりもしてみました(余計なことしかしていませんね)

アンケートで好きな場面はどこですか?と尋ねたら、それこそ皆さんが好き勝手観てるんですよね。『痴女って響きいいですよね』『女(メイコ)に圧倒される男性店員(カホル)がリアルで面白い』、『ハナヨのありふれてるんだけど、ありふれていない悩み方が良い』とか。舞台美術の漫画を読みたいとかもありました。3人くらい重複して好かれたのはラジオでしたね、本職には勝てないのか。いや、坂口も5号も経験あるわけだし、全部を0から創作した演技なわけじゃないんですけど。

僕の作品は割と世代が上の方というか……自分なりの観方や好みがハッキリした方々によく好かれるんですけど、今回は初めて小学生・中学生の目にも触れました。受付もしていたので(これ、上演しても大丈夫かよ……)なんて過ったわけですが、意外と普通に観てくれた。でも、不安だから帰り際に直接、面白かった?と尋ねたら、ただただ静かに深く頷いてくれたりしました。

僕が指揮を執るカフェ演劇はあまり見られないスタイルだそうです。凄いとか、刺激的とか言われます。たまに実験的とも評されるのですが、僕としては作る側と見る側の対話へ積極的に「挑戦」をしているわけです。だって、知らない人と会話をするって緊張するじゃないですか。緊張はするけど、知らない人の声や知らない世界の話っておもしろいんですよ。自分じゃ決して得ることのできないものですから。見せるばかりでなく、演じながら貪欲になおも得ようとする。ただただ人の作ったものを見てサヨナラで終わらない、気になったらなんでも聞ける。簡単なんだけど意外と心的な敷居の高いことを……

『おもしろい』と言うのはただ与えられるわけではなく、自分から求めていかねばならない。そんな風に僕は思ってたし、今もなお思います。

(文責:5号)


まるとさんかくVol.5出店作品「君が咲けば」

脚本・演出=ピンク地底人5号

【出演者】坂口弘樹(勝手にユニットBOYCOTT)、坂口望美

ヘアメイク:黒弥優、脚本・演出・小道具=ピンク地底人5号